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チモシーグラス

Author:チモシーグラス
がんを経験してみて、改めて生きるすばらしさに目覚めました。

大好きな馬のこと、愛猫のこと、草花のこと、健気に生きるさまざまな命の輝きを、四季折々に綴ります。


なお、当ブログ『チモシーファーム』の画像と文章の無断転用を、固く禁じます。


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上野の在来馬

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(3頭の在来馬たちは、庭付き一戸建てのまがりや<曲屋>に住んでいる・・・
2008年10月26日、東京・上野動物園にて)

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(みんな、まったりお昼寝中・・・手前から、木曽馬の幸泉<さちいずみ>、
野間馬のえりか、トカラ馬の琥太郎)

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(一番小さいけど一番年上のえりか。今年14歳の牝。
今年4月、愛媛県今治市野間馬ハイランドからやってきて、9月には
今治市出身者の集まり「北桜会」関東支部名誉会員に認定された)

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(えりかの足元で目を開けたまま爆睡中の幸泉。今年5歳の牝。
昨年11月、長野県木曽町からやってきた。
みんなの中で一番大きいので、見学者に男の子と間違えられていた・・・)

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(牡馬の琥太郎。
昨年10月、鹿児島県からやってきた。
今年3月で1歳になったばかり。唯一の男の子、
しかもイケメンだけど、パワフルなお姉様たちにびびり気味)

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(野間馬はこんなに小さな体で、かつてはみかん畑の大切な働き手だった)

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(在来馬が人間と共に暮していた時代を再現した記念撮影用の看板。
スタッフの皆さんの手作りだという)

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(えりかは、いつも幸泉にぺったり)

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(幸泉もえりかにぺったり)


ずっと雨模様の続く週末の最終日、なんとかお天気も持ちそうなので、
今日は、上野動物園で飼育されている在来馬を訪ねた。

雨上がりの上野公園は、ところどころ紅葉が始まっているとはいえ、
まだ青々とした緑が深く目にしみる。
改札口を出ると、目の前はすぐに上野の杜。
いつ来ても気持ちのよい空間で大好きな場所のひとつだ。

在来馬たちは、園内のこども動物園の一角にいた。
りっぱな庭付き一戸建てのまがりや(曲屋)が住まい。
3頭の紹介パネルによると・・・
トカラ馬の琥太郎(こたろう)は、2007年3月3日生まれの牡。
やんちゃだが、少し臆病でほかの2頭に圧倒されている。
木曽馬の幸泉(さちいずみ)は、2003年4月6日生まれの牝。
とてもおとなしいが、この中で一番強くて寂しがりや。
野間馬のえりかは、1994年5月10日生まれの牝。
芯がしっかりしていて、度胸がある。かなり頑固。

紹介文のとおり、えりかは一番小さいのに一番年上のせいか堂々としてマイペース。
幸泉は、一番大きくて見学者に男の子と間違えられていたが、なんだか
小さいえりかを頼っているような感じにもみえる。
琥太郎は唯一の男の子でしかも若くてイケメンだから、お姉様たちにモテモテと
おもいきや、常に2頭から微妙に距離を置いて様子を伺っている感じ。
馬社会も難しそう。

今日は日曜日とあって家族連れや若いカップルがひっきりなしに訪れて、
一緒に写真をとったりして、みんなとっても楽し気。
牧柵に貼られたプロフィールと目の前の馬を見比べていた若い女性が
「こっちがキソバ?」と連れの男性に尋ねている。
なんか意味が違ってくるんですけどぉ・・・ま、いっか。

姿形も生きてきた環境も違う3頭のかわいい馬たちを見ていたら、いつか、
それぞれの故郷を訪ねてみたくなった。

『ケンザン通信』秋号

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(研修生たちの先生役をりっぱに務めていたケンザン
・・・2002年9月14日、静岡・つま恋乗馬倶楽部にて)
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秋晴れの爽やかな日が続く週末の夕方、チームケンザン友の会から
『ケンザン通信~早来の風~』秋号が届いた。
わくわくして、封を切る。

表紙は美しい緑を背景に、優しく差し出されたニンジンに口を寄せるケンザンの横顔。
20歳を越えたとは思えない若々しい風貌、穏やかな目に現在の幸せな様子が
一目瞭然。
いつものように隅から隅まで愛情のこもった紙面づくりに、じんわりと
温かな気持ちがこみあげてくる。

とりわけ楽しみに拝読しているケンザンの故郷Y牧場さんからのお便りの中で、
見学者の来訪が増えており、中でもケンザンが活躍していた頃は子供だったと思える
若い年齢層が多くなっている、という旨のお話が印象的だった。
リアルタイムで出会えなかった馬も、こうして見守り伝え続ける人たちがいるかぎり、
新しいファンをも増やすことができる!
なんてすてきなことだろう。
それに気づかせてくれた牧場さんのお話だった。

帰郷を待ち望んだ牧場へファンの手で帰ることのできたケンザンは、幸せをつかんだ
引退馬のお手本だ。
通信を手にすると改めて、ケンザンのような引退馬が一頭でも多くなることを願わずには
いられない。
そして、そのためにささやかでも私も自分にできることを続けていこうと気持ちを新たにした。

ここのところ引退馬を巡って辛い話を見聞きしていてかなり気持ちが後ろ向きに
なりかかっていたが、『ケンザン通信』のおかげで元気が出てきた。
ケンザンとY牧場さん、そしてチームケンザン友の会の皆さん、ありがとうございます!
次号も楽しみにしています!

樽酒『寒立馬』

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(大きなりんごくらいのかわいい樽酒・・・
2008年10月12日、千葉・鎌ケ谷にて)

旅から帰ってから手付かずだった後片付けをしていたら、リュックの中に
丸っこいビニール袋。
出してみると小さい割には重い。
えっ、何だっけ?
頭をクエスチョンでいっぱいにしながら、袋を開けたら中から出てきたのは
大きなりんごくらいの大きさのミニミニ樽酒。

ああ、そうだ!
ほとんどの荷物は宅急便で送ったが、これだけは途中で割れても困るので
タオルにくるんでリュックに入れて背負ってきたのだった。
すっかり忘れていただけに、なんだか手にしてみると得した気分。

尻屋崎の売店でみつけ、中身はお酒だし、空き樽は旅の記念になると思い
即買ったものだった。
下北半島 尻屋 と書かれた中央には、雪の中で草を探す寒立馬たちの姿。
‘むつ市柳町一 (有)関乃井酒造'と刻印されている。

早速、夜の晩酌でお味見。
爽やかな口当たりで飲みやすい。
寒立馬たちの優しい姿が蘇ってきた。

もうすぐ、この絵のように厳しい冬がやってくる。
あの仔馬たちは無事に乗り切ることができるだろうか。
きっとだいじょうぶ、長い厳しい歴史を生きつないできた馬の子孫だもの。

元気をくれた旅

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(八戸で買い求めた八幡馬、敷物は八戸裂き織り。
手作りの品からみちのくの温もりが伝わってくる
・・・2008年10月7日、千葉・鎌ケ谷にて)

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(尻屋崎でひとめぼれした「寒立馬ベビー」。
旅の間中、カンちゃんと名づけたこの子に、
一人旅の寂しさを癒してもらった)

たった5日ぶりなのに、久しぶりに自宅で迎えた朝はめっきり秋めいていて
季節の流れを感じる。

初めての青森馬旅。
北の最果て尻屋崎で海風に吹かれ、寒立馬のおおらかさに触れ、岩木山を仰ぎ見て、
真っ赤なりんごにかぶりつき、優しい人と馬に会えて、日に日に気持ちが開放されて
いくようだった。
そして、たくさんの元気をもらい心のエネルギーが満タンになった。

当初予定していた引退馬の牧場巡りは事前の準備不足がたたり叶わなかったが、
また改めて出直そう。

馬に会いたい一心で出かける旅、次はどの馬がどこへ連れていってくれるのだろう。

『三本木農業高校、馬術部』

青森に来てからの4日間は日焼けが心配になるほどの晴天続きだったが、
最終日の今日はとうとう朝から雨。

ほんとならがっくりくるところだが、よし!あの映画を観に行こう!
盲目の馬と女子高校生の実話を映画化した『三本木農業高校、馬術部』が
ちょうど一昨日から公開されていた。
映画の舞台、三本木農業高校は青森県十和田市に実在し、女子高生の湊華苗さんは
とうに卒業して社会人となっているが、盲目の馬タカラコスモスも健在だと聞いていた。

原作の『私、コスモの目になる!」(取材と文:橘美佳、主婦と生活社刊)を読んでいたので、
映画化されたと知って、公開を楽しみにしていた。
旅先の青森で観られるなんて、これも何かのご縁かもしれない。

八戸駅前の観光案内所で映画館を教えていただき、バスで町中にある八戸フォーラムへ。
席について上映を待っていると、あちこちの席から青森弁の会話が
BGMのように聞こえてきて耳に心地よく、青森にいることを実感する。

映画は予想通り、始めから涙腺が緩んで鼻がぐしゅぐしゅ。
あちこちからも鼻をすする音・・・。
突然の病気で盲目になった乗馬界のかつての女王タカラコスモスが、担当になった
高校馬術部の部員の少女とさまざまな葛藤の末に彼女に心を開くまでが、
厳しくも美しい青森の四季の中で綴られていた。

晴れの日も雨の日も風の日も、そして雪の日も黙々と馬に乗り、馬の世話をする
馬術部員たちに、昨日お会いしたSさんと☆ちゃんの姿がだぶったのも、
涙の理由だったかもしれない。
人と馬が心を通い合わせることは、生半可ではできないのだ。

映画館を出ると一段と雨が激しくなっていたが、気分は青空のようにすがすがしく
爽やかだった。
家に帰ったら、また原作を読み返してみたくなった。

ホシウラナイ

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(真っ赤なりんごに囲まれて・・・2008年10月5日、青森・岩木山観光りんご園にて)

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(`道草‘を楽しむホシウラナイちゃんとSさん・・・2008年10月5日、青森・弘前にて)

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(後ろに見えるのはりんご畑。甘い香りが漂ってきそう・・・)

昨日は寒立馬に出会えた感動の余韻にひたりつつ、ゆっくりとした朝を過ごし
遠出の疲れをいやした。
そしてお昼から歩いた種差海岸のみごとな景観にまたまた感動、すっかり青森びいきに
なってしまった。

たっぷり英気を養い、今日は馬友達訪問と念願のりんご狩りのため弘前へ。
午前中はりんご園、午後から馬友達のところへ。
八戸から特急で約2時間、岩木山のりんご園まではさらにバスに揺られて小一時間。
雄大な岩木山が町を見守るように裾野を広げている。
バスが町を離れてしばらくすると、あたり一面、りんご、りんご。
真っ赤な実が星をちりばめたようにりんご畑が延々と続く。

お目当ての観光りんご園に着きバスを降りた途端、甘い香りに包まれた。
「入園料は500円、食べ放題、日没まで好きなだけいていいよ。ゆっくりしていってね」、
園主さんのお言葉に、ほんとできることなら夕方までいたい。
けど、午後からはSさんと愛馬☆ちゃんが待っていてくれるからそうもいかない。

かごをひとつもらって、☆ちゃんへの手土産にと真っ赤なりんごをひとつ、ふたつ、
そっともぎとってみる。
うう、これがやってみたかった!
もぎとると、ずしりと手におさまるりんごの重み。
楽しくてほっておくと、きりなくやってしまいそう。
かごにあふれるほどもぎとって、おしまいにする。
後は、おいしそうな実を探して(といっても、みんなおいしそうだが)味わう。
食べ放題といったって、そんなに食べれないよと入る前は思っていたのに、
結局3個も食べてしまった。

ずしりと重いりんごのかごを手に、再びバスに乗って弘前駅へ戻り、タクシーで
☆ちゃんのいるH馬術協会へ。
☆ちゃんことホシウラナイはトウカイテイオーの娘。
いつもSさんのサイトで拝見している☆ちゃんは、テイオー・パパに雰囲気が
とてもよく似ている。
競走馬にはなれなかったが、縁あって弘前で乗馬になれて縁あってSさんと出会えた。
馬の幸不幸は出会った人で決まるといつも思うが、
☆ちゃんはSさんに出会えて、Sさんは☆ちゃんに出会えて、きっとお互いに幸せなんだ。

午前中の乗り運動を終えて、Sさんと☆ちゃんは厩舎にいた。
☆ちゃんはサイトで見ていたとおりの品のある女の子。
せっせと☆ちゃんのお世話をするSさんは、☆ちゃんがかわいくてたまらない様子。
傍から見てもほほえましくて、☆ちゃんの幸せぶりが伝わってくる。

一仕事終えて、☆ちゃんと一緒に土手までお散歩。
土手にはりんご畑が続いて、ときどきは厩舎のお馬さんたちにもプレゼントして
くださるのだという。
文字通り、☆ちゃんの道草をしながら、Sさんとおしゃべり。
目の前には岩木山が優しい姿で佇んでいる。
馬がきっかけで出会えたSさんと☆ちゃん。
いつかお訪ねしたいと思っていたことが現実になった・・・しみじみとした喜びがにじむ。

厩舎に戻り、やがて仕事を終えてSさんが神棚に手を合わせて目を閉じた。
その祈りの姿が美しい。
きっと毎日の祈りがSさんを支えているのだろう。
外に出ると岩木山に夕焼けがかかって、空が赤くなっていた。
自然に祈りたくなるような神々しさだ。
これからもSさんと☆ちゃんを見守ってください、岩木山さん!

寒立馬

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(尻屋崎一面に咲いていた可憐なコハマギク・・・2008年10月3日、青森・下北にて)

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(寒立馬に会えた!)

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(ひたすら草をはむ母馬)

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(そばに仔馬もいた!)

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(仔馬もひたすら・・・)

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(いつのまにか、もう一組の親子も姿を現した)

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(まだまだ母さんに甘えていたい)

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(ちょっと、ひと休み)

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(秋に包まれて・・・)

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(この葉っぱ、大好きなんだ)

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(でも、やっぱり、まだ、おっぱいが好き)

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(ひっそりと寄り添うように咲く花たち)

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(頑張って、厳しい冬を乗り切るんだよ)

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(帰り際、先ほどの親子に再会)

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(あなたたちも、どうかこの冬を無事に乗り切って・・・、と祈らずにはいられない)

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(別の群れにも出会えた。やはり、仔馬を連れている)

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(海に守られて、海に鍛えられて)

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(逞しい姿にてっきり牡馬かと思ったら、母馬だった)

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(初めて会えた寒立馬の姿にたくさんの想いがあふれた。また会いに来ます)

<書きたいことがいっぱいあって長文になってしまいました。
最後までお読みいただけましたらうれしいです>

さぁ、今日は寒立馬に会いに下北・尻屋崎へ。
朝5時起床で宿泊先の本八戸駅から在来線で八戸駅へ。八戸から特急で野辺地(のへじ)へ。
野辺地から陸奥湾沿いに走る大湊線、別名むつはまなすラインで下北へ。
下北からバスでむつバスターミナルへ。ターミナルからまたバスに揺られて11時前、
やっと尻屋崎到着。
ふーっ、やっぱり尻屋は遠かった。

まずはのどの渇きをうるおし、岬巡り前の腹ごしらえとばかりに、灯台前の売店で
缶ビール片手につぶラーメンをすすりながら、寒立馬たちの姿を目で探す。
来る前のリサーチでは、灯台をバックに草をはむ寒立馬たちの姿をしっかり目に
やきつけてきたが、かんだちめのかの字もない。
売店の人も「今日はみかけませんねぇ」。
せっかく来ても会えずに帰る人もいるという。ウエーン、そ、そんなぁ。

と、やはり馬を見にきたらしい女性が売店にやってきたので、その人にも聞いてみたら
やはりみかけないという。
東京から、寒立馬を見るためだけにむつに泊まりにきていて、1時のバスで帰るという。
話してみると、競馬も乗馬もやらないが馬や犬が好きで、寒立馬のことは新聞記事で知り
見たかったのだという。
木曽馬も訪ねたと聞いて、いつか私も行ってみたいと思っていたのでそのときの様子を
興味深く聞いた。
ディープインパクトのこともニュースで知り北海道まで訪ねたが、その日はおでましにならずに
がっかりして帰ってきたのだとか。

馬の話で盛り上がりつつ、それではと一緒に寒立馬探しを始めたが岬を見渡しても
それらしき姿は見えない。
二人して途方にくれていたら、男性が車から降りてきたので思いきって尋ねてみる。
車の中には女性二人が待っていた。
「馬なら見たよ。親子で草地にいたよ」。
いた!しかも親子!きっと男性の目に映った二人の目は少女漫画のように
キラーンと輝いていたに違いない。

お礼もそこそこに言われた方へてこてこ歩き出した。
と、しばらくしてさきほどの車が戻ってきて手を振っている。
さっきの親子をみつけたからそこまで乗せていってくれるという。
同乗した女性たちは、私たちのために降りてくれた。
恐縮しつつご親切に甘えて車に乗せていただき、しばらく走ると
あ、いた、いた!
秋色の草原に溶け込むように栗毛の母馬とそっくりな仔馬が。
男性に心からのお礼を言って車を降りた。

驚かせないよう、静かに少しずつ近寄ってみる。
おとなしい馬とは聞いていたが、半野生の馬、やはり慎重になる。
まして仔馬を連れているとなると、さらに気を使う。
が、やはりそれは杞憂だったようだ。
母馬も仔馬も私たちが近づいても、全く変わらず無心に草をはんでいる。
仔馬も逃げない。
そっと近づいてうなじをなでてみたら、少し汗ばんで暖かい。

しばらく二人で親子馬を眺めながら馬談義が弾んだが、そろそろ女性の方は
帰りのバスの時間。
「親子馬に会えただけでも満足です」と言って立ち去っていった。
また、どこか馬を訪ねた先でお会いできるといいなぁ。

一人になって再び岬を歩いてみたが、あの一組以外は見当たらない。
タクシーを4時前に頼んでいたので、まだ時間はあったが次第にあせってくる。
ふっと、もしかしたらあの親子のところに群れが合流しているかもしれない、と思い立って
戻ってみると、群れはいなかったが、おお、別の親子がいた。
しかも沼に入って水草を食んでいる。

やはり驚かせないよう、静かに近づきながらカメラのファインダーを覗く。
遠く南部馬の血を残し、軍用馬として、農耕馬として、そして肉馬として時代と共に
生き続けてきた寒立馬。
近年になってあと数頭となったとき、やっと保護の手が差し延べられて少しずつ頭数も増えて
いるという。
そんな人間たちの思惑にも淡々と生き続けてきた馬たちの静かな佇まいに、
ファインダーを覗く目がうるんでしまう。

馬たちのそばで過ごす時間はあっという間に過ぎ、そろそろ帰る時間・・・。
松林で目を閉じて休んでいた仔馬を起こさないよう、そっと、さよならとつぶやいたら
何を思ったのか、静かに後をついてきて目の前で止まった。
愛くるしいまなざしを見ていたら、これからの厳しい冬をどうか無事に乗り切ってほしいと
願わずにはいられない。

予約していたタクシーがすでに来ていた。
少し早いけどと思いつつ、未練いっぱいで車に乗り込むと来た時と反対側の道を
走り出した。
近道なのかなと思っていたら、しばらく走ると松林に囲まれた広い草地に寒立馬の群れ!
「やっぱり、ここにいた」運転手さんがつぶやき車を止めた。
乗る前に親子二組しか見られなかったと言った私の言葉をしっかり覚えていてくれたのだ。

夕日が傾き始めた草地には、仔馬たちを含み十数頭の群れが思い思いに草を食んでいる。
こんなにたくさんの馬を見ることができたなんて・・・運転手さんに感謝、感謝。
時間を気にしつつシャッターを切る。
できることなら、日が暮れるまでここにいたいけどそうもいかない。
未練を振り切るように車に乗り込む。

最低限の管理はされているとはいえ、殆ど野生に近い状態で生きている寒立馬たち。
生きる自由と生きる厳しさに裏打ちされた姿は、たまらない魅力にあふれていて
初対面というのに、すっかり魅了されてしまった。
初夏の尻屋崎はたくさんの花が咲いて、仔馬たちがいて、とてもいいと売店の方が
教えてくださった。
その頃に絶対、また来たい。

★寒立馬メモ★
寒立馬は、現在、青森県の天然記念物として青森県と東通村(ひがしどおりむら)が
管理し保護しています。
また、「寒立馬保護基金」を設け募金を募っています。
詳しいことは、東通村HP及び「ハローNET青森・東通村」をご覧ください。

八戸と馬

いよいよ青森出発の朝。
朝日がまぶしくて、今日の晴天を約束してくれているようだ。

東北新幹線はやてで約3時間。八戸駅は最新設備のピカピカの駅だった。
まずは競走馬のふるさと案内所へ行き、お目当ての牧場について
連絡先を教えていただく。
案内所を辞して早速1軒目の牧場へ電話を入れたが、お昼前なのかつながらない。
電話がつながらなければ見学はできないというので、あきらめるしかない。

気持ちを切り替えて、やはり行ってみたかった八戸市博物館へ。
ふるさと案内所で頂いていたパンフレットに‘東北地域に根ざした馬産の歴史を学ぶ
八戸市博物館’とあった。

そのとおり、館内の展示物をじっくり見て回ると、いかに八戸の歴史と馬の関わりが
深かったかが実感できた。
中でも100頭の馬を描いたという絵巻物は圧巻。
ほんの一部しか広げられていないのが残念だったが、生き生きとした馬たちの姿に
じっと見入ってしまった。
また、「おしらさま」にまつわる娘に恋した馬の悲しい民話には、胸が痛んだ。

八戸に来る前からずっと疑問に思っていた「戸(へ)」の意味も、ここで分かった。
分かったどころか、戸は馬に由来するものと知り大感激!

博物館で手にした資料によれば・・・
‘岩手県北から青森県南にかけて一から九の数字に「戸(へ)」がつく地名が残されており、
それらは、特に馬産を中心とした「牧」を取り込んだ行政単位で、「戸」の中にいくつかの
牧を設け管理したものと思われる。
江戸時代には八戸だけでおおよそ二万頭の馬がいたことがわかる’
というものだった。

一戸、二戸、三戸、四戸、五戸、六戸、七戸、そして八戸。
それぞれにいくつかの牧があり、馬たちが飼われていた。
博物館の展示物がにわかに蘇ってきて、馬たちのいななき、蹄の音まで聞こえてくるようだ。
それにしても二万頭だなんて、昔の人口は分からないけど人の数に比べても
かなりの多さだったのではないだろうか。

一息いれようと休憩ロビーから窓の外に目をやると、川の流れが眼下に広がっている。
スタッフの方に「馬渕(まべち)川」と教えていただく。
なんだか、その頃の馬たちが群れをなして川辺で水を飲む姿がみえてきた。

博物館に隣接して日本100名城にも選ばれているという「根城(ねじょう)」へも
足を伸ばしてみた。
根城は復原された南部氏の居城で、20年近い歳月をかけて公開されたという。
みごとな復原により、当時のお城の様子が一目瞭然。

やはり馬好きが注目したのは、お城の馬たちの厩舎や来客の馬を繋いだ馬屋の建物。
お殿様の愛馬の専用厩舎である上馬屋、お城の馬たちのための下馬屋、そして
来客用の中馬屋。
馬房の中には、当時の馬の骨格に基づいてつくられた馬たちも何頭か繋がれている。
たくましい体躯に大きな頭、これが南部馬の姿か。
思わずつくりものの馬たちの鼻面をなでてみる。

明日はやっぱり寒立馬を訪ねてみよう。
南部馬の血をひく彼らに無性に会いたくなってきた。

旅支度

興味津々でバッグに潜り込もうとするさくらを右に左によけながら!?
明日に迫った青森の旅支度をなんとか終えた。

一昨日、なんか体調がおかしくなり、そして昨日はとうとうダウン。
急に涼しくなったせいか、久しぶりに風邪を引いてしまった。
葛根湯をお湯で溶かしてゆっくり少しずつ飲んで、ひたすら安静の一日を送る。
そのおかげか、今日は殆ど平常に戻ってほっと一安心。

青森の旅を直前に控えて寝ている場合じゃない、と昨日は寝床の中でやきもきしつつ、
リュックに詰め込むあれこれをシュミレーションした。
今日はそれを思い出しつつ、ひとつひとつ忘れ物のないように支度を整える。

青森の馬友達Sさんから、「急に寒くなったので暖かくしてきてくださ~い」と
ありがたいメールを頂く。早速、冬用のブルゾンも詰め込んだ。

ぎりぎりまではっきりしたプランが決まらなかった青森行き。
競走馬の故郷案内所から送っていただいた牧場地図やガイドブックを隅から隅まで
チェックしていくと、あ、ここも行ってみたい、こっちもよさそう、この馬にも会いたい。
馬と縁の深い青森だけに、馬好きにはたまらない土地柄なのだ。

そして極めつけは尻屋崎の寒立馬。
八戸からならそう遠くなさそうだから、せっかくだから見てみたいなぁ~という
思いが募るばかり。
Sさんと愛馬Hちゃんにもぜひ会いたいし・・・うーん、日にちがいくらあっても足りなくなりそ!

台風15号もなんとか海上に抜けそうで、後は新幹線が時間通りに動いてくれるのを
祈るばかり。
初めての青森の馬旅、どうか良い出会いがありますように!


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